フレックスタイム制では欠勤控除ができないって本当?

こんにちは、社会保険労務士の菊池です。

 今回も人事労務の素朴な疑問について書きたいと思います。

~フレックスタイム制では欠勤控除ができないって本当?~


Q:フレックスタイム制を導入しましたが、欠勤控除をするのは間違っているのでは
  ないかと社員から苦情がありました。欠勤した場合の取り扱いを教えて下さい。

A:フレックスタイム制の労働者については、一定期間の勤務すべき時間を満たして
  いれば、基本給部分を働いたことになるため、欠勤控除はできません。ただし、
  ペナルティとして「皆勤手当」を減額したり、賞与の査定に差をつけることなど
  は可能です。


○基本的な仕組みは
 フレックスタイム制は、始業・終業時刻を労働者の決定にゆだねる制度です。
1ヶ月以内の一定期間(「清算期間」といいます)の「総労働時間」と「標準となる
1日の労働時間」などを定め、これらをもとに労働者は勤務します。
 例えば、「標準となる1日の労働時間」を8時間、清算期間の総労働時間を「標準と
なる1日の労働時間×所定労働日数」(例:8時間×20日=160時間)などと定めます。
 なお、フレックスタイム制は、勤務時間を完全に労働者の自由とするだけではなく、
勤務できる時間帯「フレキシブルタイム」や、必ず勤務すべき時間帯「コアタイム」を
設定することができます。
 法律上必ず設けなければならないものではありませんが、フレキシブルタイムは労働
者が深夜など極端な時間に勤務するのを制限できますし、コアタイムは会社の種々の
連絡・会議の設定などに役立つので設定した方が良いでしょう。


○実労働時間の把握
 始業・終業時間を労働者が決めるという点では、裁量労働制と似ていますが、フレッ
クスタイム制では実労働時間を把握し、これにもとづき賃金を支払いうという点が
異なります。
 実労働時間が清算期間の「総労働時間」として定められた時間を超える場合は、その
超えた時間について残業代を支払います。
 逆に、定められた時間に満たない場合はその時間分の賃金を控除するか、または次月
に不足時間を持ち越すこともできます。ただ、制度の趣旨としては不足分の賃金を控除
するよりも次月に労働時間を持ち越すべきと考えられています。ただし、持ち越した時間
と次月の総労働時間の合計時間が法定労働時間の総枠を超えてはいけません。また、持ち
越し時間分を含めて次月の実労働が法定労働時間を超えたときは割増賃金が必要になります。
 このような超過や不足が大きくならないように、月の途中で実労働時間をいったん
集計し、社員に知らせるなどの工夫が必要でしょう。


○コアタイムの遅刻や欠勤は
 フレックスタイム制は、始業・終業時刻の決定が労働者にゆだねられているので、本来、
遅刻や早退は考えません。ただし、コアタイムに遅刻してきた場合などにペナルティが
なければモラルが保たれません。そこで「皆勤手当」を設け、これを減額などすること
はできます。または、制裁として就業規則に定め法定の限度の範囲で減給処分するか、
あるいは勤務態度の評価として賞与の最低に差をつけることはできます。
 なお、フレックスタイム制は出勤するかどうかまで労働者の自由ではないので、労働日
に出勤しなければ欠勤になります。ただし、総労働時間を満たしているのであれば基本給
分の勤務はしているので、欠勤控除はできません。遅刻に準じて皆勤手当の減額などで
対応することになります。

 「働き方改革関連法案」には、清算期間を最大3ヶ月に延長する案が盛り込まれています。
労働者に能力を発揮させるため、柔軟な働き方の環境整備が求められているのです。


では次回もお楽しみ!