アルバイトに雇用契約書は必要?

こんにちは、社会保険労務士の菊池です。

 今回も人事労務の素朴な疑問について書きたいと思います。

~アルバイトに雇用契約書は必要?~

Q:アルバイトから雇用契約書が欲しいと言われました。条件は求人誌に掲載
 していますし、アルバイトは入れ替わりが激しいので契約書を作るのが面倒
 です。正社員でもないのに、いちいち契約書など必要でしょうか?

A:法律では、雇い入れ時に文書で労働条件を明示することを事業主に義務付け
 ています。トラブルを防ぐためにも労働条件を契約書(あるいは通知書)で
 はっきりさせておくことは大切です。ひな形を利用すれば作成の手間もかか
 りません。


 アルバイトは、正社員などと比べて比較的、気軽に働いている人も多く、
雇う側も扱いがおろそかになりがちなので、トラブルになることも多いのです。
 特に近年、アルバイトの労使トラブルが社会問題となっています。


○労働条件の明示は法律上の義務
 トラブルを回避する上で最も大切なのが、どういう契約なのか労働条件を
はっきりさせることです。そのため、雇い入れ時の労働条件の明示は法律で
義務付けられています。
 労働基準法で定められた5つの項目に加えて、アルバイトの場合はパートタイム
労働法で定められた4項目も明示する必要があります明示義務に
違反した場合は罰則も設けられています。
 正社員と違って、人数が多かったり、出入りが激しかったりして、いちいち
雇用契約書や労働条件通知書を発行するのが面倒かもしれませんが、労働条件が
あいまいになっていることによってトラブルが多発するともっと面倒なことに
なります。
 法令順守、そしてトラブルを未然に防ぐためにも労働条件通知書は必ず発行
してほしいところです。


○会社にとって有利に働くことも
 労働条件をはっきりさせておくことは、労働者が安心して働けるというだけ
でなく、会社にとって有利に働く場合もあります。
 例えば、明示すべき項目に「契約期間」「更新の判断基準」があります。パート
やアルバイトなど非正規雇用の場合は6ヶ月や1年など有期契約で雇用し、契約
更新をする企業が多く見られます。ただし、漫然と更新を繰り返していると
無期雇用と同じとみなされ、雇い止め(契約更新しないこと)が認められな
くなる場合があります。
 昨年7月に東京地裁で、コーヒー店のアルバイト店員が合計8年半の間、有期
労働契約を33回更新した後に雇い止めをおこなったのは無効だとして200万円の
支払いを求めた裁判がありました。
 この裁判では、コーヒー店を運営する企業が契約更新の判断基準を明確に
定めており、アルバイト店員がその基準を満たしていなかったこと、更新手続き
が適切におこなわれていたことなどを理由に、会社側が勝訴しています。


  ~雇い入れ時に文書で明示しなければならない事項~

 労働基準法
  1.契約期間、有期契約の場合は、更新の有無、更新の判断基準
  2.就業場所、従事する業務
  3.始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制の場合はその内容
  4.賃金の決定、計算・支払方法、締切日・支払日、昇給(昇給は口頭でも可)
  5.退職について(解雇事由を含む)

            +

 パートタイム労働法
  6.昇給の有無
  7.退職手当の有無
  8.賞与の有無
  9.パートタイマーからの相談に対応する窓口


○ひな形をダウンロード
 どのように労働条件通知書を書けばよいのか分からないという会社は、厚生
労働省が公表しているひな形をダウンロードして使うとよいでしょう。
 ちなみに、会社から一方的に通知するのが労働条件通知書、会社と労働者の
双方が納得して締結するのが雇用契約書です。労働条件通知書の末尾に使用者
と労働者の記名押印欄を設けて雇用契約書とすることも可能です。


○国が啓発キャンペーンを実施
 アルバイトに関しては、近年学生アルバイトの労使トラブルが多く、国が啓発
キャンペーンを実施するなど対策に力を入れているところです。
 雇う側も正しい知識をもって、違法な状態とならないように適切に雇い入れる
ことが大切です。


では次回もお楽しみに!